大英博物館と魔女の特別展(JP)

大英博物館(The British Museum)

ジョン・ディー博士(Dr John Dee, 1527-1608/9)。
16世紀のイギリスの数学者、天文学者。
魔術や占星術に関心をもち、エリザベス1世に仕えたともいわれています。
大英博物館には、そんな彼の魔術グッズが常設展示されています。

 ギリシャ風の正面入り口

 ジョン・ディー博士の魔術グッズ
©Trustees of the British Museum
(左後) 黒曜石の鏡:南米のアステカからの魔法の鏡らしい。14-16世紀(?)
(左前) 水晶球:ディー博士曰く、天使から与えられた「霊魂」を呼び出す石の一つ。年代不明。
大英博物館設立のもととなるコレクションを寄贈したハンス・スローン卿より。
(右) 金の円盤:ポーランドのクラクフで見たという「4つの城の幻影」が彫金。16世紀末。
(中央) 3つの蝋の円盤:呪術的な文字がみえる。彼の魔法机を支えていたとか。16世紀末。

ところで、日本で2015年3月~2016年5月にかけて開催されていた「魔女の秘密展」。
その少し前に、大英博物館でも類似の特別展が開催されていました!
タイトルは「魔女と邪悪な身体(Witches and wicked bodies)」(2014年9月~2015年1月)。
展示は主に、ルネサンス期から19世紀末までの、魔女や魔女術を扱った絵画。同様のテーマが描かれた古代ギリシャの壺やルネッサンス期のマジョリカ焼きもありました。恐ろしげな老婆から若く美しい妖女まで、多様な魔女のイメージの探究がテーマでした。


(左) Medea and Jason (480-470 BC) ギリシャ神話の魔女メディアと恋人のイアソン
(中) Syren playing a lyre with two owls (c.500-480 BC)
ホメロスのオデュッセイアに登場する鳥女セイレーン。女神アテネの象徴、フクロウと一緒に。
(右) Daniel Hopfer: Three Witches beating a devil (1510-20)
女が男にパワーを見せつけるパロディーは、16世紀初めのドイツの印刷物でよくみられました。

 
(左) Giovanni Benedetto Castiglione: Circe (c. 1650)
オデュッセイアにも登場する魔女キルケ。
男たちを獣に変えてしまって、さぁ、どうしようかなと思案中。
(右) Circe mixing a potion (1563)
愛らしく踊っているように見える魔女キルケ。実は恋敵がお気に入りの池に、毒薬を仕込んでいるところです。イタリアのパドゥアのマジョリカ焼き。

 
(左) Andries J. Stock after Jacque de Gheyn II: Preparation for the Witches’ Sabbath (c. 1610)
ドラゴンや火トカゲとともに、荒れ地に集う3人の魔女たち。噴煙を上げる火山は自然界の邪悪な力の象徴。悪魔はいなくても、サバト(魔女の集会)の雰囲気は、しっかり醸し出されています。
(右) Claude Gillot: Witches’ Enchantment (c. 1698-1722)
空飛ぶ魔女、蛇、悪魔、墓から這い出る者たち。みんな、拷問シーンを楽しげに眺めています。


(左) Jan van de Valde II: The Sorceress (1926)
魔法円の中に立つ魔女の髪、自分が起こした波動?で、前になびいていますね。
(右) Henry Keen: Lilith (c. 1925-1930)
一説によるとアダムの最初の妻はイヴではなく、このリリス。性行時に上位を主張したアダムの元を去った後、多くの悪魔たちと交わり、無数の悪魔の母となりました。男性の優位性(性行時の上位)を拒否したリリスは、英米などユダヤ・キリスト教圏の一部のフェミニストに熱烈に支持されています。

大英図書館やヴィクトリア&アルバート博物館、テート・ブリテンやアシュモレアン博物館からの借り物もあるとはいえ、展示作品の大半は大英博物館の所蔵です。魔女の絵画関係だけで、これほどあるなんて、いったいこの館には、どれだけの物が収集されているのでしょう。

参考文献
・「ディー博士の魔術」『大英博物館のAからZまで』(The British Museum Press, 2012)p.100
http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=3340529&partId=1&searchText=obsidian+mirror&page=1(黒曜石の鏡)
http://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=3340142&partId=1(写真のグッズの説明)
http://www.britishmuseum.org/whats_on/exhibitions/witches_and_wicked_bodies.aspx
(魔女展)
・特別展の説明

訪問日:2005年12月15日、2014年12月16日など
開館日:午前10時~午後5時半(金曜日のみ午後8時半まで)
※休館日→1月1日、Good Friday(イースター前々日の金曜日)、12月24-26日
料金:無料(寄付は大歓迎らしいです)
住所:Great Russell Street, London WC1B 3DG
※魔法グッズの展示室:Case 20 Religion and Ritual (Magic, Mystery and Rites),
Room 1/6, Enlightenment
連絡先:+44 (0)20 7323 8299 info@britishmuseum.org
ホームページ:http://www.britishmuseum.org/
最寄りの地下鉄の駅:Tottenham Court Road駅(500m), Holborn駅(500m), Russell Square駅
(800m), Goodge Street駅(800m) ※近くにバス停あり。

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